16:10-16:30
招待講演「ヒト/モノの移動を支える自動走行とCPS技術」

日本自動車研究所 ITS研究部 次長 主席研究員 香月 伸一

2010年に始まったGoogle CARの公道実験をきっかけに、自動走行車への注目度が高まり、自動車メーカー等による国際的な開発競争が始まっている。今後さらに少子高齢化が進む日本において、自動走行車はヒトやモノのモビリティを支える交通手段として期待される。

自動走行車は、自律型と協調型に大別できる。自律型は、自ら搭載するセンサによって走行環境を認識し走行制御を行う。性能や信頼性の高いセンサやECU、アクチュエータ類を搭載する必要があり、それらの小型化、コスト低減が大きな技術課題である。

一方、協調型は、通信によって得た周辺車両や路側インフラなどからのデータを自らのデータと融合・検証することで走行制御を行う。システムの普及が前提となるほか、通信の信頼性確保やセキュリティ対策など、自律型にはない要件を備える必要があるが、通信によって自車センサの検出限界を超える広範囲の情報が入手でき、また予測、協調した走行制御ができることから、自律型と比べてセンサやアクチュエータ類の要求性能を緩和できる可能性を持つ。

協調型の自動走行車が持つ周辺環境認識データ、走行制御データを集約することにより、交通流の状態や燃料消費、環境への負荷などを把握し、交通情報提供や経路誘導、交通管制に活用すれば省エネルギーや環境負荷低減が期待される。さらに、交通管制、情報提供による広域な最適化と、自動走行車の協調制御による局所的な最適化の両立を図ることが可能になる。これは、都市交通におけるCPS(Cyber Physical System)と見なすことができる。そして、周辺環境認識データや走行制御データに関する標準化は極めて重要な課題である。

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